俳句の殿堂

萬翠荘 ホームに戻る俳句の殿堂TOP~俳句の殿堂~ 扇

(オウギ)

結社理念

扇冊子
俳句の根源は故郷にあり、幼年期に育まれた郷愁と情愛、七五調のリズムを大切に幅広い写生とかるみの作風を志す。

主宰者

扇主宰 岡田 守生
岡田 守生(オカダ モリオ)
昭和11年徳島県生まれ。
大阪府立今宮高等学校卒業。関西学院大学文学部中退。
父、岡田松韻(保)俳人の影響をうけ諸国放浪の旅へ。香川県高松市にて(有)岡田印刷開業。昭和50年「晩緑」同人勝瀬満寿男に師事。昭和60年「星」入会。吉野義子に師事。60年同人。平成3年「黄鐘」へ同人入会。俳人協会第32回全国俳句大会秀逸賞。平成5年結社誌「扇」を創刊。香川県俳句協会事務局長。高松市民文化センター俳句講師。高松カルチャーセンター講師。四国新聞社発行ウエルネスかがわに俳句入門連載などを経て現在に至る。

連絡先

住所
〒761-0104 香川県高松市高松町233-3

主宰の100句

1 控え目に咲く佗助のおちよぼ口
2 年の豆数え拾いて手に余す
3 佗助や隣り座敷の茶筅音
4 検診を終えて家路を薔薇の径
5 東風吹くや鳴門の渦の迷い潮
6 線となり点となり行く帰雁かな
7 頣の噛み合いあしき涅槃西風
8 春雷や一網に島捕らえたる
9 少子化とゆうと言えども雛飾る
10 内裏雛左右を違えて飾りけり
11 海鳴に目覚む春眠浅からず
12 尿子の後ろ姿や山笑う
13 時として編制ほどき行く帰雁
14 老斑の腕に掴む雛の菓子
15 霞たる屋島遠目に父母の墓
16 揚羽蝶父母の墓前の供華に舞う
17 夏蝶の汚れし色に交みけり
18 見上げても見下げて観ても花は花
19 下枝より開き初めける桜かな
20 紫陽花や昔の色をそのままに
21 百坪を征し一樹の藤の棚
22 行く春の白紙に滲む墨の色
23 麦秋を来て喉嗄の水を乞う
24 讃岐富士裾野十里の麦の秋
25 くちなしや無垢な娘が解け初む
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26 子には子の客ありメロン切る音す
27 看護師の夜半の巡回明け易し
28 七夕や急かされて食ぶ患者食
29 しつとりと肌着身につく五月かな
30 文を書く窓に来て去る梅雨の蝶
31 ひびき合う親子遍路の鈴の音
32 屋島嶺や遍路杖持ち島を指す
33 山笑う鈴の音絶間なき屋島
34 逆うちの遍路なにやら唱え行く
35 接待の茶に辞儀つくし行く遍路
36 山道にゆくりなく摘む蕗の薹
37 大槌も小槌も島よ瀬戸霞
38 ふらここを漕ぐや屋島を足蹴にて
39 外灯のあぶり出したる落花かな
40 一握の島を見下げて雁帰る
41 新緑の並木いつもの散歩道
42 ちちははも阿波の生れよ藍浴衣
43 学童のカメラに納む羽化の蝶
44 紅梅に胸中ひらく女かな
45 幾重にも岬つらねて土佐の春
46 鳴門はや小渦に淫らぐ若布般
47 大歩危も小歩危も昏れて青葉木莬
48 蕨餅鄙びし家の子沢山
49 女鵜匠の十指に操る鵜網かな
50 萍を風が分けゆく水の音
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51 じつと見る一尾となりし金魚鉢
52 大夕焼け史跡繙く裏屋島
53 陽炎や自慢話をして孤独
54 隣り合う人の扇の風もらう
55 海霧深し屋島俯瞰の檀の浦
56 実梅まろまろ産毛なす子の児斑
57 明易や女整う手櫛髪
58 萬緑に五体あずけて鳶の笛
59 鶏頭の炎に火傷せし小指
60 地に落ちてより華やげる椿かな
61 裏道へ逸れて出会いぬ帰り花
62 喪帰りの花野にこぼす清め塩
63 女木島は晴れて男木島しぐれけり
64 また一つ島を抱き込み初しぐれ
65 一刻を惜しみ一刻借る夜長
66 蜘蛛の囲に夕日すつぽり捕られけり
67 本流をさけて淀みのあめんぼう
68 空梅雨や芳名帳のかすれ文字
69 まなかいに城山を容れ明け易し
70 銀漢や人の数ほど恋生まる
71 わらべらの声跳ね返る雪の朝
72 蓮骨のくの字はの字に湖を刺す
73 着膨て往き交う人の皆無口
74 しゃがみ見る廁窓辺の実南天
75 約束のように陽の射す鴨の池
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76 もつれては風に解ける枯尾花
77 熟柿喰う鴉の嘴の赤かりし
78 近道を取りて芒の風に逢う
79 蔓引けば踊りつつ来る烏瓜
80 屋島寺の鐘うおんうおんと芒原
81 風紋や砂丘綾なす初日の出
82 淑気満つ瀬戸の海原島多し
83 島々の影絵となりて初日出ず
84 初日さす島に数戸の蜑(あま)の家
85 それなりの顔して喜寿の屠蘇祝う
86 地に降りて雀弾めり春隣
87 松明けて食の不規則引きずれり
88 どの道を取るも恵方と思うべし
89 初鏡きりりと結いし茶筅髪
90 朝市のものみな雪を被て売らる
91 除夜詣八一(やいち)の歌詩の鐘の音
92 二日はや硯に墨を磨るしずか
93 餅花の影に紅白なかりけり
94 少子化の家に過ぎたる鏡餅
95 左義長の炎に鳩の翔く気配
96 七種に一菜欠けたる粥を炊く
97 会うこともなき教え子の年賀状
98 繭玉や子の口にある紅の色
99 臘梅にかこつけて侍す褒め言葉
100 鳶の輪の一つは解けて冬の海

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